おもしろき こともなき世を おもしろく  すみなすものは “感動” なりけり

Café Enseigne d’angle

Enseigne d’angle

アンセーニュ ダングル と読みます。

フランス語で、意味は「角の看板」とのこと。

そんなフランス語表記も意味も知らなかった10代の頃、

この「アンセーニュダングル」という響きは、僕の生活の一部でした。

当時、僕は北海道の小樽という小さな港町で、この街の景観の美しさとまるで相容れない人間の居心地の悪さにイラついて仕方がなく、鬱々としていました。

そんな中で、何ヶ月かに一度、電車で1時間かけて札幌のアンセーニュダングルという喫茶店に行くことが、憂鬱からの解放だったのです。

その後、上京して同じ名前の喫茶店を原宿のはずれに見つけたときの驚きといったらありませんでした。

いまだに札幌の店との関係性はよくわかりません。

ただ、この原宿店は、細部に至るまで札幌店の雰囲気ととてもよく似ています。

ここは、2021年で創業46年を迎えました。

創業当時はまだ「フレンチスタイル」の喫茶店は少なかったとのこと。

19世紀末のパリで、ジャンルを越えた芸術家たちが集まり、哲学論や芸術論に花を咲かせたのが、まさしくこのフレンチタイプのカフェでした。

パリには、大きくてオープンなカフェも多いのですが、

アンセーニュダングルのように、こじんまりした「隠れ家」的なカフェも、その存在感を誇っています。

こういう壁越しにチラッと見える席や、

柱や段差で区切られた半個室のような席は、まさにフレンチスタイルの真骨頂。

あとは「無駄」な空間の美しさ。

この「無駄」といわれるかもしれない広いスペースは、無駄どころか、しっかりと着席した人の心を安心感でうめてくれます。

そこかしこで心ニクイ小空間を演出している間接照明と絵画。

漆喰の白壁によく似合っています。

札幌のアンセーニュダングルはもう随分昔に閉店してしまったけれど、

原宿の、喧騒から隔絶された一画で50年近く在り続けてくれるこの老舗は、

東京で最も豊かな時間を過ごせる場所だと思います。

喫茶店(カフェ)って、やっぱり夢があるなぁ。


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